一般化された絵画展示の形態と油彩による描写を引用した 『此処』『帰途』『繋がり』F100号 キャンバス、油彩具、アクリル絵の具、アクリルミラー、プラスチック板 絵画の絵の中に「鏡」と映像を映し出す「モニター」を貼り込みました。 「風景画に穴が開いている?」 そう思って覗き込むと、自分自身と目が合います。 また、環境によって動かない筈の絵画の平面上に動きが生まれます。 |
CONCEPT |
主題研究から、卒業研究のテーマを「絵画の形式を引用し、鑑賞者に絵を観るという行為を意識させる」「現実空間と絵画を融合させる」という事に定めた。 ●人が絵画を観る時に無意識に行う事を意識させる 絵を観ようと画面を観ている内に絵を壊す要素に目が行き、絵を絵の具とキャンバスの平面だと意識すると同時に、「絵画の中の世界」でなく「現実空間」を意識するようになる。 ●現実空間と絵画を融合させる 絵画の平面の中に現実の要素を取り込む。身近で今を映すものとして、鏡とモニターを使用した。 |
先行作品研究 |
主題研究から、卒業研究のテーマを「絵画の形式を引用し、鑑賞者に絵を観るという行為を意識させる」「現実空間と絵画を融合させる」という事に定めた。 以上の事から、先行作品研究として以下の作家を挙げる。 ルネ・マグリットRene Magritte(1898-1967) 代表作『イメージの裏切り』 「目に見える思考」であり、見えている現実の裏側を描く。 ルチオ・フォンタナLucio Fontana( 1899-1968) 代表作『空間概念』 キャンバスに穴を開け、絵画という枠組みを超える。 “絵画の閉鎖された空間を超えて新しい次元を生みだす” 比較 ●ルネ・マグリットの作品 鑑賞者に思考を促す。 『イメージの裏切り』では、パイプが描かれた下に「これはパイプでは無い」と書いてある。確かに『イメージの裏切り』はパイプでは無く絵である。 ●ルチオ・フォンタナの作品 「空間主義」運動。 『空間概念』では、ナイフでキャンバスに穴を開け、キャンバスのみに留まらない空間を表現した。 ⇒自作品 風景のようなものが描かれているが、それを観ようとすると描かれている絵を壊す要素が目に入る。 目の前の絵はキャンバスに絵の具が乗っているものであると気付くと同時に、自分のいる「現実」の要素を絵の中で見る事になる。 |
主題研究【2014-2016年の制作作品】 |
-過去作品より主題決定の糸口を探る- 2016年 課題作品 F20号 キャンバス、油彩具、アクリルミラー |
CONCEPT |
授業課題での写真の撮影・コラージュを通し、「自分の表現したいテーマをどう絵画に落とし込むか」という事を考え、実験的に手法を試みた作品。 主題 『360度の世界』 画面に描かれているものに留まらず、周囲の環境を取り込んだ平面の絵 作画にあたっては、風景をベースに感覚的な表現を取り入れた。 経緯 1)写真の撮影 写真を通し、自分の興味は映り込みや影、水のようなものにあるのではないかと感じた。 2)コラージュ 立方体の箱の内側にコラージュをした。写真同士の映り込みを利用しようとした。 3)絵画の制作 狙い ●画面に鏡を埋め込んだ 絵である事を壊す 本来絵を鑑賞するときに意識しない「鑑賞者側」を不意に見せる事が出来る 画材としての鏡 映り込み見えるものが変わり、画面の動き・変化が得られる ●風景を描くこと 認識の操作 具象画としての体裁をとり、上記の仕掛けを純粋なものにする 2016年 課題作品 F20号 キャンバス、油彩具 |
CONCEPT |
授業課題で提示されたモチーフの作画を通し、自分の中の物の捉え方、表現を探った作品。 主題 『外に出る』 室内・人物をベースに、屋外の要素を取り込んだ。 その際、人物の顔・形を描かないことによって、『個人』で無くした。 経緯 |
最後に |
私が卒業研究に取り掛かる時、主題を決定した後の先行作品研究に難航しました。 同じ考えを持って絵を描こうと思っていらっしゃる方の目に止まり、少しでも助けになればと思い、ポートフォリオから抜粋してこのページにまとめました。 2017.03.14 小月みゆき
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